
第12子・帝王切開後の発熱

1998年(24歳)から2020年(46歳)、
22年間でわたしは
12人の子どもを産みました。
病院勤務をしていた頃には
帝王切開のママたちのケアを
させていただく立場でしたが
昨年12人目でわたし自身
人生初の予定帝王切開を経験しました。
帝王切開が終わってしばらくすると
手足がキンキンに冷たくなり
寒気や震えが襲ってきて
38度程度の熱が出ることが多々あります。
わたしたちの体温は普段
36度台で安定していて
暑いと血管が広がって
汗をかいて体温を下げようとし、
寒いと血管が縮んで震えなどが起き
体温を上げようとします。
体はすごいんです!
常に、微妙な体温調整をしてくれているのです。
帝王切開によって
おなかの皮膚、脂肪層、筋肉、子宮壁に切開が入ると
各組織が一時的に破壊され。
出血したり浸出液が出たりします。
ダメージを受けた体は
出血や浸出液を吸収し、元の状態に戻ろうとして
エンジン全開!
フル稼働で修復作業を開始します。
わたしたちは体を動かすと
少し体温が上がりますよね。
術後の体は、いわばそれと同じ状態。
傷ついた組織を修復するために
体内のいろんなところがめっちゃ活動する!
で、体温が上がるんですね〜。
そんなわけで帝王切開のあとは
免疫系の働きによって正常な体温域が
38度前後まで上昇します。
普段より2度ほど上げなければならないので
寒気や手足のふるえなどを起こして
合理的に体温を上げていきます。
この発熱を『吸収熱』と呼びます。
術後48時間以内にピークを迎え
(術後10時間頃がピークの人が多い印象)
その後、ほっといても解熱していくので
焦る必要はありません。
出血や浸出液のある場所には
基本的に細菌がつきやすいですが
細菌は熱に弱い特性を持っているので
術後に意図的に発熱させることで
細菌感染に対する防御力を高める効果もあるんですね。
つまり、帝王切開後の吸収熱は
目的にかなった生体防御反応であり、
具合が悪くて出る熱とは違い、
べりーないすな発熱と言えます。
感染を起こして発熱してるわけではないので
解熱剤は使う必要もないし、
抗生剤もいりません。
もしも創の感染や
おしっこの管から細菌が入った場合には
術後3日目あたりから発熱してくることが多いです。
吸収熱が下がったあと、
再び発熱するパターンですね。
よくない熱の場合は、痛みや腫れなどを伴い、
血液検査をすると白血球の急増など
炎症反応がバーンと上がっているはずです。
さて、わたしが出産したのは2020年10月。
コロナ禍まっただなかでした。
低置胎盤、前置血管で
出産時の大出血のリスクがあったため
産前2週間、管理入院していました。
夫との面会さえ許されない不自由な入院生活。
外界とは完全に遮断された
2週間を送った上での帝王切開だったわけです。
つまり、帝王切開後の発熱で
コロナを疑うこと自体、
そもそも不自然な判断なわけですが、
念には念を。
慎重×100の、周産期医療センターです。
どう考えたって、
術後の吸収熱やんかーーーーーっっっっ!!!
と、医療スタッフみんなが思っていても
「熱が下がるまでは
残念ですが赤ちゃんとの面会はできません」
・・・だよね。(T . T)
吸収熱はたぶん
来るだろうなと予測していました。
術後6時間時点、
まだ平熱を保っていたので、
無理を押してでも今のうちに
赤ちゃんに会いに行ったほうがいいと思いました。
帝王切開での出血量2000cc超。
フラフラだったんですが
作り笑いで元気を装い、
行きますっ!
歩けますっ!
授乳室まで歩いて行ったものの、
頭真っ白になって倒れ、
帰りは車椅子のお世話になりました(^◇^;)
でも、会えてよかったですよ。
ほんの少し授乳もできました。
(ヨレヨレでしたが)
その後、予想通り術後8時間ごろから
吸収熱、来ました来ました〜!
『よい熱』であって、
『何かよくないことが起きている熱』では
ないのに、わが子に会いに行けない辛さ・・・。
赤ちゃんに会いたいのよー!
だからお願い、熱下がってー!
だけど、傷の修復も
がんばってもらわなくちゃ困るのよー!
どーすんのよ、もう〜!
翌日には自然に解熱し、
赤ちゃんに会うことが許されましたが
コロナ禍の余波、
こんなところにも・・・
帝王切開後の吸収熱のお話でした。





