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2022.11.01

会陰切開の医学的根拠

『会陰切開』とは、分娩時に
腟と肛門の間の部分(会陰)が十分に伸びず、
裂けて大きな傷(会陰裂傷)ができてしまうのを防ぐために
あらかじめハサミなどで切開を入れることを言います。

生まれてくる赤ちゃんが
少しでもストレスなく生まれて来れるよう
道を広げて助けてあげることを目的として行われます。

赤ちゃんの頭が出てくるときに
腟やその周囲の組織は限界まで引き伸ばされますが、
強くいきみすぎたり、
もともと会陰の伸展が悪い体質などが
ある場合には、自然に裂けてしまい
時にこの裂傷が直腸にまで及ぶこともあります。

わたしが第一子を出産した1998年頃は
会陰切開には、会陰裂傷を軽減する効果も
あるのではないかと考えられていて
初産の場合にはほぼ全例に
会陰切開を行っている時代でした。

陣痛の苦しみが勝り、
切られたことに全然気付かなかった〜
というハッピーな人もいますが

デリケートな場所を
ハサミで切られることを想像すると
やっぱりちょっと恐ろしくなりますよね。

「切りたくない!!
絶対に避けたい!」

と妊婦が懇願しても
残念ながら医学的に会陰切開が
必要なときもありますが

時代は流れ、最近は前例には行わず
〝必要な場合のみ〟会陰切開を行う病院が
ずいぶん増えてきています。

だけどその一方で、
現在でも変わらず
会陰切開をルーティン化している
病院もあります。

〝必要な場合〟というのは

具体的には、

①傷が大きくなることが予想されるとき
(会陰の伸びが悪い、巨大児、吸引分娩など)

②赤ちゃんがしんどそうで
早く出してあげたほうがいいとき
(モニターで胎児心拍低下があるとき)

会陰切開をまったくしないということがあれば、
それはそれで問題であり、
急速遂娩など必要な場合には
躊躇なく行う必要があります。

ですが、これには
明確なガイドラインがあるわけでもなく、
医師・助産師・施設によって
考え方や基準が違うんです。

自然に裂ける傷(会陰裂傷)のほうが
神経を傷つけにくく、
縫合後の痛みと違和感が少なくなりますが、
かなり深い大きな会陰裂傷であれば
会陰切開の方が楽なので一長一短です。

会陰切開を行わない場合には
陰唇裂傷などの前方損傷を
増加させる可能性があり、

わたしは1人目のとき
58時間もかかるお産で
後半戦は赤ちゃんの予備能力が
限界近しに達し(心拍低下)
〝必要な場合〟になったため
会陰切開しました。

以後2人目〜11人目までは
幸いなことに〝必要な場合〟に
当てはまらなかったので
会陰切開せずに済みました。
(12人目は帝王切開)

その結果、
縫うほどでもないかすり傷程度でしたが
前方損傷したことが何度かありました。

経腟分娩で会陰切開を必ず行うことについて、
アメリカでは産科婦人科学会(ACOG)は

「日常的に会陰切開を行っても、
長期的あるいは短期的なメリットはないため、
行うべきではない」

と、否定的な見解を示しています。

経腟分娩では、
70%の産婦が腟の周辺での裂傷を経験します。
でも、そのほとんどは軽度の裂傷です。

ただ、運悪く重度の裂傷、
特に肛門括約筋の断裂や肛門、
直腸まで裂傷が及ぶような
裂傷ができてしまった場合には、

尿失禁や便失禁のほか、
痛みが長く続くなど、
産後もさまざまな症状に悩まされることがあります。

こうした重度の裂傷の予防も
会陰切開を行う目的の1つとされています。

ですが、会陰切開にまつわる
アメリカの研究では

日常的な診療行為として
「会陰切開を必ず行う」ことによって、
重度の会陰裂傷や骨盤底機能不全
(尿失禁や便失禁を含む)、
骨盤臓器脱を防げるという結論は
得られませんでした。

むしろ、会陰切開を行うことで
産後の便失禁リスクの増加、
さらに性交時に痛みを感じたり、
パートナーとの性生活の再開が
遅れたりする傾向が認められました。

この結果をふまえてACOGは

「産科医は、
科学的な根拠に基づいた
アプローチを取るべき」

と、コメントしています。

どのような産婦に対し、
どのような方法による会陰切開を行うのか。

産科医は経腟分娩のたびに
必ず会陰切開を行うのではなく、
それぞれの産婦の状態を考慮して
会陰切開を行う必要があるのかどうかを
見極めて実施すべきなのですね。

会陰の伸びは、もともとの
伸びやすさ、伸びにくさがあり
個人差が大きく自分じゃどうにもできない
ことではありますが

分娩時に〝必要な場合〟を回避するために
何かできることはないでしょうか。

会陰切開、会陰裂傷を防ぐため
会陰の伸びをよくするためには

・会陰マッサージ
・会陰への温湿布
・分娩時に落ち着いて助産師の指示に従っていきむ

この3つが勧められています。

とくに温湿布に関しては、
しない場合に比べて
3度および4度の重度の会陰裂傷リスクが
低くなるという分析結果が報告されているので

妊娠後期になったら
夜、湯たんぽをお股に挟んでリラックスすることを
習慣づけたり、

お産のとき、
子宮口が開いていく時間も
会陰を温めながら過ごしてみましょうね。

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