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2022.03.17

切迫早産の最新治療(2)


安静はどこまで必要なのか?

わたしたちは調子が悪いとき
「横になって休む」
という行動を取ります。

各臓器への循環血液量を増やし、
疲労した身体の回復を早めるためには
心身を平静な状態に保ち、
身体的、精神的活動による
エネルギーの消耗や負荷を
最小限にする必要があるので

「疲れたな」「具合悪いな」
と感じると、誰に教わったわけでもなく
わたしたちは無意識に
『安静』にします。

医療界でも
『安静』は、健康上のさまざまな問題に
用いられる一般的な医療介入です。

切迫早産をはじめ、
前期破水、子宮頸管無力症、前置胎盤、
妊娠高血圧症候群、その他出血、胎児発育不全
などさまざまなハイリスク妊婦に対して
安静が指示されますが

切迫早産妊婦に対して
指示される『安静』は多くの場合、
漠然としていて一貫性がなく
安静保持の最適な期間さえも
定義づけられていません。

なので妊婦健診で

「なるべく安静にしてね」
「無理をしないように」

と言われても

それって
どのぐらい???

安静の程度や内容の
具体的指導がないため
妊婦さんたちが困惑するという
場面がよくあります。

家事はしてもいいのかな?
買い物に出掛けてもいい?
寝ていなければいけないのかな?
シャワーは?

安静には一応、
『安静度』という医学的な程度の指標が
存在するのですが

実は、医療者側も
安静の程度をどのあたりに設定すればいいのか
困惑しているというのが
現状ではないでしょうか。

そんな中、
切迫早産妊婦での安静の効果は
否定的な見解が定着しつつあるんです。

アメリカ産婦人科学会は公式意見として

『早産予防のためのベッド上安静には
適切なエビデンスがない』

と発表しています。

早産予防のための
長期にわたるベッド上治療の弊害は
血栓塞栓症、骨量の低下、心臓血管や
筋肉の機能低下などの身体的問題が
報告されており、

妊婦の血流が滞り、基礎代謝も低下、
結果的に赤ちゃんの成長を制限する
リスクを増加させる可能性があるとも
言われています。

精神的問題としても
家族や社会からの疎外感や
行動制限によるストレス、恐れ、緊張、
今後に対する不安、罪の意識などによって
抑うつ、気分不快などが起きやすく

ましてやここ数年は
感染症対策で夫や家族の面会さえ制限され、
孤独な長期安静を余儀なくされた
切迫早産の妊婦さんは
さまざまな想いで戦っておられます。

・・・それでも、
赤ちゃんのために!

無事に出産するというゴールを目標に
必死で気持ちの折り合いを
つけがんばっておられる姿、
その強さには尊敬の念しかありません。

切迫早産妊婦に対する安静療法には
否定的意見が多いにも関わらず、
今もなお、継続され続けている現状には、
4つの理由が指摘されています。

1)安静にすることで妊婦と胎児に
致命的な問題は起こらない。

2)安静を指示しない=標準医療から
外れることへの心理的不安

3)ケア提供が合理性よりも
むしろ過去からの慣習に基づいているため
それを大きく変更することは
社会的に簡単ではない。

4)「切迫早産以外のハイリスク妊娠では
安静療法は有効である」
というエビデンスに基づき
切迫早産を引き起こしている
先行要因によっては安静が必須。

この中でも、
とくに4)が悩ましいところで

先行要因になる材料が何も見つからないのに
切迫早産になっている場合には
本当に安静は必要ないのかもしれませんが

例えば切迫早産の先行要因が
子宮頸管無力症だった場合には
やはり十分な安静が必要なんです。

先行要因が子宮内感染症で
卵膜が弱くなっていることが明白の場合にも
子宮収縮や子宮口への重力負荷が
破水を促す原因になり得るため
なるべく重力がかからないように
おなかが張らないように
安静保持の必要があるでしょう。

・・・となると。

『早産予防のためのベッド上安静には
適切なエビデンスがない』

だったとしても。

結局、切迫早産での安静の必要性は
ケースバイケースってことに
なりますよね。

はっきりした根拠は
検証されていないけれど、
利益と不利益とのバランスをとりつつ
赤ちゃんへの効果を期待して行う治療法・・・

それが

『切迫早産における安静療法』

ということになるでしょうか。

う〜ん
とても難しい問題です。

本日の動画

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