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2021.12.01

妊娠中に旅行に行ってもいいですか?

2020年以降、新型コロナの大流行の影響で
全世界の人たちが『旅行』という娯楽から
遠ざかった生活を強いられました。

ワクチン接種の普及、
マスクや手指消毒の徹底、
外出自粛など、どれが功を奏したのか
わかりませんが、ここに来て日本は
コロナ感染者の数が急激に減少。

緊急事態宣言が解除され
ようやく人々が動き始めました。

結婚式さえ延期に延期を重ね
新婚旅行にも行けないまま
おなかに新しい命を授かった
妊婦さんたちも多いことでしょう。

我慢ばかりの数年だったので

「妊娠中ですが
旅行に行ってもいいですか?」

最近とくに、よく聞かれます。

変異型ウイルスの感染という
次なる脅威もあるので
またいつなんどき、ステイホームに
なるかもわからないし、

赤ちゃんが産まれてくる前に、
今のタイミングに旅行しておきたい!
そんな気持ちはよくわかります。

雑誌やネットでも『マタ旅』はブームで
楽しそうな特集記事などが組まれているのを
見ます。

でも、妊娠中の旅行には
ネットや雑誌ではあまり知らされない
厳しい現実があるのをご存知でしょうか。

わたしは沖縄に住んでいますが
12人目を出産した産科救急対応の病院で
助産師さんから、
観光旅行で沖縄を訪れている
県外の妊婦さんが出血したり破水したり、
体調を崩し救急外来に運ばれてくることは
しょっちゅうだと聞きました。

産科救急の現場は刻一刻と
状況が変わる厳しい現場です。

そのまま入院になることも多く、
中には早産してしまう場合も
少なくないそうです。

わたしにも過去に経験があります。

勤務助産師をしていたとき
関東から大阪に旅行に来ていた30wの妊婦さんが
緊急搬送されてきたんです。

前日にかかりつけの産院で
妊婦健診を受けたばかりで
「順調」の太鼓判をもらっていたので
安心して出発したのだそうです。

旅行2日目の朝からなんとなく
おなかが痛かったらしいのですが
一昨日の健診では問題ナシって言われたし、
大丈夫かな・・・と我慢して
旅行を続けていました。

そしていよいよ
冷や汗を伴う激しい痛み、
岩のように硬くなったおなかを抱えて
救急搬送されてきました。

『常位胎盤早期剥離』

胎盤が子宮の壁から剥がれてしまう
命にかかわる異常が起きていました。

一刻を争う超緊急帝王切開になりましたが、
赤ちゃんは死産でした。
ママはかろうじて一命を取りとめましたが
出血が止まらず、子宮全摘に
なりました。

「昨日まであんなに元気だったのに。
健康な妊婦がこんな結果になるなんて
おかしいじゃないか!」

旦那さんがすごい剣幕で
担当した医師を責めたて
取り乱されている姿が
今でも脳裏に焼きついています。

そもそも安定期を
「流産や早産の危険がなくなる時期」
と勘違いされている妊婦さんも
多いと感じます。

本来、安定期とは
「胎盤が完成し、胎内環境が整う時期」
のことです。

決して、その時期に
トラブルが起きないというわけでは
ありません。

順調な妊娠経過をたどっていても
突然出血や破水することはあり、
早産に至る可能性は
すべての妊婦にとってゼロではありません。

なので、
「旅行に行ってもいいですか?」
と聞かれて

「元気だしいいですよ〜♪」とは
産婦人科医も助産師も
答えることはできません。

「絶対に大丈夫」はないですし、
先のことは誰にもわからないから。

もし何か起きたとき、
赤ちゃんの一生を左右するだけではなく
なにより、ママや周囲の人が深く傷つき、
後悔し続けることになる事態だけは
避けたい・・・

わたしたち産科に携わる医療者たちは
そう考えています。

妊娠初期や臨月でなければ
旅行そのものが明らかな悪影響を
与えるという医学的証拠はないので

妊婦さんは旅行禁止!

ということではありません。

ただ、たまたま旅行中に
よからぬ事態が起こったら?

正しい知識を持って、
多くのリスクをきちんと理解した上で
最終的には自己判断で
ゆとりを持った計画を立ててほしいと
思います。

おなかに赤ちゃんがいる、
という自覚と覚悟を忘れずに。

わたしは第10子妊娠29wのときに
飛行機で大阪→東京(日帰り)
講演の仕事で長距離移動したことがあります。

急な体調不良にも対処できるように
行き先のそばに産科救急に対応できる
医療機関があるかどうか調べました。

また、妊娠中は血栓ができやすいです。

十分に水分や食事をとらないまま
狭い場所に長く座り続けていると
足の静脈に血栓ができて
それが血流に乗って肺動脈まで届いて
詰まってしまう、
いわゆるエコノミー症候群を発症しやすいため
飛行機移動には神経を使いました。

米国疾病管理予防センターのガイドラインによると
飛行機での移動そのものは
「合併症のない妊婦ならば
妊婦自身や胎児にとって有害ではない」
としています。

昔は、上空の低酸素や低気圧が
赤ちゃんや妊婦さんの体になんらかの
悪影響を与えるのではないかと懸念
されていましたが

現在の考え方としては
合併症のない妊婦に対しては
空の旅を制限されていません。

実際、多くの航空会社では
36wまでの搭乗が許可されています。

ですが、旅行とおなかの赤ちゃん、
どっちが大事かと聞かれたら
もちろん赤ちゃんが大切ですよね。

「緊急の事態が実際に起こってしまったとき
その状況は安全か?」

この1点を常に考えて
行動すべきだと思います。

飛行機内で受けられる医療は限定されるため
機内で十分な処置が行えない場合は
最寄りの空港へ緊急着陸せざるを得ません。

他の乗客に多大な迷惑をかける
ことになり、航空会社にとっても
大きな負担になります。

何があっても自己責任です。
行くのならできる限り近場で
お願いします!

そして
本当に今行くべきか、
よく考えて決めましょう。

本日の動画

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