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2020.04.13

叫び倒すお産は〝失敗〟なのか?

もう3回目なんだから、
上手なお産をしなければならないのに、
今回、今まででいちばん叫び倒してしまった・・・

と、落ち込む3人目産後のママとお話しました。

騒いでいる産婦さんは一見、
主体性がなく自分自身をコントロールできない
丸投げのお産に見えがちで、

静かに黙々とがんばる産婦さんからは
「自分で産むんだ!」という強い意志のようなものが
感じられがちです。

だから、助産師になったばかりの頃、
分娩介助する助産師として、
叫び倒すお産は産婦さんを冷静に導くことができない
〝失敗のお産〟ととらえてしまい、

『騒がせないお産』にすることこそが
助産師に求められるスキルであり
〝成功のお産〟と思い込んでいました。

わたし自身が11回の出産を経験し、
たくさんのママたちと接しているうち、

騒ぐ、騒がないで
お産の良し悪しをジャッジするものでは
ないことに気づきました。

大声で叫んだり、
ネガティブな暴言を吐くお産も
意味があってそうなっているのだと考えるように
なりました。

陣痛に合わせて声を出したくなったり、
泣き言を発したくなったりするのは、
無意味に騒いでいるわけでもないし、
主体性がないわけでもありません。

いきみすぎないように、
パニックにならないように
産婦さんなりに自分をコントロールする術
だったりするのではないかと思います。

叫びまくる産婦さんは
助産師の言うことにも
ほとんど耳を貸さなくなったりするので

「落ち着きましょう!」

「声を出すと赤ちゃんが苦しいからね!」

「ママになるんでしょ、がんばって!」

産婦になんとか叫ばせないように
助産師若葉マークのわたしも必死で大声を出して
誘導しようとするので
陣痛室は殺伐とした雰囲気にもなってしまいます。

騒ぐお産はダメで
静かなお産がよい、という先入観で
助産師が分娩介助していると
産婦さんにその思いは伝わってしまいます。

叫んだ=うまく産めなかった
→ママとして失格

冒頭の3人目ママがそうであったように、
ネガティブな感情をずっと、
ママの心の中に残してしまうことに
なるかもしれません。

また、今日はweb相談で
初めての出産、産後12日目のママと
お話しました。

彼女は子宮口9cmのときに

「もう嫌、ほんまもう無理ーーーー!」

助産師に向かって怒鳴り散らしたそうです。

暴言吐きまくったお産でしたが、
彼女はちゃんとママになりました^ ^

初産・経産でちょっと騒ぎ方が違います。

「もう無理ー!」
「これ以上がんばれない!」
「おなか切ってください!」
「産むのやめる!」
「死ぬ!ぜったい死ぬ!」

無理難題、支離滅裂な内容を叫ぶのは、
たいてい初産婦さんです。

何時間もかけて
子宮口8cmぐらいまでじわじわと開いていき、

8cmぐらい以降、
赤ちゃんの頭がママの骨盤内に入り始め
開き方のペースがいきなり急勾配になる
パターンが多く見られます。

8cmから全開大までが
初産の陣痛のクライマックスです。

1~2分ごとの強い陣痛。
合間のわずかな休息の時間も、
痛いのか、痛くないのかもよくわからなくなってきて

「今、おなか張ってないよ、力抜いてみようか」

声をかけても

「知らん!ずっと痛い!」

否定されてしまうことも多々です(^_^;)

この時期が
初産婦さんにとっては一番しんどいところなので

一生、生まれないんじゃ・・・?

思考回路がおかしくなって
泣き言を言いたくなるのは自然ななりゆきです。

だんだん泣き言を通り越して、
動物的で本能的な
体の底から湧き上がるような声に変化していくので
立ち会っている家族から見ても
産婦さんの様子が尋常ではないように感じられ
不安になるかもしれません。

経過が順調ならば、
産婦さんのこういう様子が出始めると
助産師は、あと少しで全開、
いよいよお産だとわかります。

「もうちょっとで産まれるからね!」

励ましのつもりで見通しを伝えると

「〝もうちょっと〟って!
さっきもそう言ったよね!
あと何分ですかっ!」

間髪入れず
吐き捨てるように言い返されます。
産婦、けっこう元気です・・・笑

子宮口全開大が目前になると
陣痛の波に合わせて
自然と体に力が入ってくるようになり、

体の内側からの
陣痛のエネルギーに集中するようになるのか、
あまり泣き言を叫ばなくなってきます。
産婦さんの顔つきが凛々しく変化します。

それに合わせて
赤ちゃんも本格的に下がってきて
お産になります。

対する経産婦は

「帝王切開にしてほしい」
「産むのやめる」
「もう頑張れない」

などの、
どうにもならない要求を
言う人あまりいません。(^_^;)

ペラペラと不平不満オンパレードの初産婦に比べ、
経産婦は比較的早い段階から
とめどなく襲ってくる陣痛のリズムに
なんとかして自分を合わせようと
動物的な声を出す人が多いです。

どっちがよい、悪い、ではなくて
静かな声であることもあれば、
一見パニックのように聞こえる大きな声で
叫ぶ産婦さんもいます。

経産婦さんの場合は、子宮口6~7cmまでは
比較的軽い陣痛でどんどん子宮口が
開いていきます。

軽い陣痛から、あるタイミングで急に陣痛の種類が変わって
1時間もかからずにグングン子宮口が開きながら
赤ちゃんもすごい勢いで下がってきます。

家から病院に電話した時点では
まだ余裕の陣痛だったのに、
ものの数十分でジェットコースターのように
進行するのが経産婦のお産の特徴です。

病院に到着したときには、
すでに8cmぐらいになっていて
叫びながら分娩室直行、あっという間にご出産~!
という経産婦さんもけっこういらっしゃいます。

おしりの方向にいきみたい感じが出始めると
経産婦さんは誰に教えてもらうわけでもなく
自然に陣痛に集中し始めます。

表情も険しくなって周囲の声も
聞こえていないようにも見えます。

でも、経産婦さんは
決してパニックになっているわけではありません。

声を出して、体を自由に動かして
陣痛の波に乗ろうとするのです。
リズムを合わせる方法を、
彼女たちは知っているのですね!

昔、助産師になったばかりのころ、
叫び倒して分娩台の上から転げ落ちるんじゃ
ないかというほど動く4人目経産婦さんを
シラフに戻さねば!!と、
必死で呼吸法を誘導したり、あれこれ話しかけた
思い出があります。

お産を先導したいのに、
言うこと全然聞いてくれないので

彼女の肩を両手で掴んで

「こっち見て!
落ち着いてー!」

・・・って、
落ち着かなあかんのは、助産師のわたしの方でした(^◇^;)

11人産んでみて、確信しましたが、

経産婦の陣痛は大波でぐんぐん進むから
声も出したくなるし、動きたくなるんです。
そうすると楽なんです。

陣痛に集中するために産婦なりに声を出したり
叫んだり、動いたりしているわけだから、
助産師にあれこれでっかい声で話しかけられると
正直うっとうしかっただろうと思います(^◇^;)
ほんますんませんでした。

わたし自身、3人目出産のときに
声を出すと楽だということに気づき、

4人目のときは歌いながら産みました。

11人目のときはもはや、
「自由に好きなようにどうぞ!」
と言われました。

経産婦はすごいですよ。
パニックのようで、実はめちゃくちゃ冷静。
ほとんどの方が分娩中のさまざまなことを冷静に観察して
ちゃんと覚えているんです。

冒頭の、3人目を出産で大騒ぎ、
落ち込んでしまったママに
お産のときの状況を聞いてみると

「お産とってくれた助産師さんの眉毛の形が
変で気になってしかたがなかった」

「コロナ休校で子どもが家にいて
たいへん~という話をしながら
分娩室の前を看護師さんたちが通り過ぎて行った」

などなど、

どーでもええ話ばかり憶えていて、

「もう3回目なんだから、
上手なお産をしなければならないのに、
今回、今まででいちばん叫び倒してしまった・・・」

なんて、
落ち込む必要なんか全然ないやん(^ ^)

声を出してリラックスして、
めちゃめちゃ冷静な、いいお産やったんやん!

と、思いました♡

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